有閑イラストレーター、タナカリヨウスケが、常々疑問に感じていることを「ああでもない、こうでもない」とこねくり回し、結局放置する妄想コラム。
【第3回】移動をコネコネ
私は常々、移動しながら、「移動」について考えたりします。
電車による移動、バスでの移動、飛行機での移動、エスカレーターやエレベーターによる移動etc。
例えば、今X氏という人物がA地点から、B地点を経て、C地点へ移動したとします。
一般的に考えますと、「移動」とは、一つの対象物(この場合、X氏)が、ある地点から、ある地点へ位置を変えることを意味します。
つまり、A点、B点、C点にいるのは、全て同じX氏であるという考えです。
しかし、移動を、全く別の側面から見ることも可能です。
それはつまり、「移動」を「リニアなプロセス」から「ノンリニアなプロセス」に読み替えるという見方です。
B点で、X氏は、再び空気から合成され、X氏となる・・・というように。
つまり、「移動」とは、対象物の位置変化ではなく、対象物の「消滅」と「合成」の繰り返しによる「見かけ上の変化」に過ぎないのです。
では、第三者には、なぜ恰も対象物が移動したように感じられるのでしょうか?
それは、A点、B点、C点のX氏の見た目が限りなく同一なこと、消滅と合成のプロセスが、人間の認識不可能なスピードで行われていること、この二つの原因があるからなのです。
いかがでしたでしょうか?
こうやって考えてみると、街を行き交う人々なんかも、ちょっと興味深く観察できたりしないでしょうか?
もしかして、貴方も、注意深く世界を観察すれば、瞬き(まばたき)する間に、微妙に何かが変化したことに気づくかもしれません。