【第1回】時間をコネコネ
先日、朝から人と会う約束があったのですが、目が覚めると待ち合わせ時間まで30分足らず。
私は大慌てで、顔を洗ったり、服を着替えたり、と準備に大わらわだったのですが、時は無常にも過ぎて行くばかり・・・。
これはどれだけ急いでも間に合わないと思ったので、まずは先方に電話をかけるのが先決と思い、携帯を手に取りました。
・・・・しかし、そこで私はふと考えたのです。
急げば急ぐほど時が早く過ぎて行くのは何故なのか?
逆に退屈な時間が遅々として進まないのは何故なのか?
皆さんも経験があるかと思いますが、乗り過ごして次の電車を待つ時には永遠とも感じられる時間が、楽しいことに熱中していると矢のように通り過ぎることがあります。
スイスの著名な認知量子物理学者、オッペンハイム博士が、1938年に発表した驚くべき論文はまさにこの問題に通じるものです。
時間の流れとは、人間の意識の産物に過ぎず、意識の無い所には事物の変化も、エントロピーの増大も存在しないというものでした。
博士がこの考えに至った、そもそものきっかけは、時計をふとした拍子に見た時に、動きを止めていた針が、見た瞬間に動き始めるように感じたからだそうですが、何とも微笑ましいエピソードです。
話が何だか逸れてしまいましたが、このままでは遅刻を免れない私は、ここでそんな彼の論文を思い出したのです。
私はまず、出発の準備を全てやめ、焦る心を落ち着け、ベッドに腰かけて、時計に目を凝らしました。
そして時計の秒針をただただ見つめ、永遠とも言える退屈な時間を過ごしたのです。
時計の針はやがて回転を遅め、ついには止まってしまいました。
そうです!これで待ち合わせ時間が来ることは無いのです!
・・・しかし、ここでふと気づきました。
このままでは待ち合わせ場所に行くことができない!と。
後は皆さんの想像通りです。
大慌てで準備を始めた途端、時間は矢のように過ぎ・・・・。
(注:以上の文章は、あくまで筆者の妄想ですので、文中の名称等は嘘八百です。)