ルーモブックス&ワークスの店主が気になった古本をつれづれに紹介する「古書古書バナシ」。
古書に限らず、新しい本や仕入れた状況などについてもアレコレと語ります。

【vol.2】美人と忍者本

先日、ひとりで店番をしている時に、ふらりとお店に現れた女性のお客様。カジュアルな服を個性的に着こなした美人さんです。
本屋を開店して1年足らず、初めて来て頂いたお客様はわかります。
顔を合わせて挨拶をしたら、あとは声をかけられるまでそっとしておく、というのが私の接客流儀。
というか、それ以外の接客方法をマスターできてないので、お客さまが本を見ている間、自分の作業に戻りました。
するとしばらくして…

「あのぅ…、ちょっとお尋ねしたいのですが…。」「はい、なんでしょう?」

「ここに『忍者』の本はありますか…?」

一瞬、おしゃれ美人×忍者というギャップに、たじろいでしまいました。
しかしそんな面白そうなアンテナを持った美人には、がぜん興味がわいてきます。

忍者に関する本…。すごく興味ある分野だけど…一冊もない!
でもまてよ、そういえば共同経営者・渕上氏の机に『忍者の系譜』というヘンな古本が放置されてたのを最近見たような…。
突然よみがえった記憶を頼りに、焦って探してみるも見当たらず。

せっかく来て頂いたお客様の、興味深いリクエストに全力で応えたい!という気持ちは100%なのに、
残念ながら「忍者」に関する本はありません、、とお伝えするほかありませんでした。

聞くと、その女性はアパレルショップにお勤めとのこと。
そこで「忍者をテーマにした服」のコレクションを発表する予定があるので、その空間にディスプレイとして忍者の本を並べたい…という次第でした。
「忍者をテーマにした服」もかなり気になるけど、古本を商品のディスプレイに使うというアイデアも面白い。古本にはそういった需要もあるんですね。

せっかくのステキな需要を知った私はハリキリました。
「忍者の本、いくつかまとめて仕入れます!来週ぐらい、よかったらまた見に来てください」と宣言。

お客様の要望に応えるというだけでなく、この本屋に忍者コーナーがあったら面白い!と突如、思い立ったのでした。
という訳でその旨をお伝えし、もしも気に入るものがあればという負担のない形で、よかったらまたお店に寄ってください!とお伝えました。

「え…、本当ですか?では、また来ます!あの、お名前は…?」という事で私の名前を伝え、去っていかれた美人さん。

さぁ、忍者の本を集めるという楽しい作業に取りかかります。
渕上氏にはネットオークション等で「忍者」に関する本をサーチしておくようお願いし、
私は翌日から大阪へ行く用事があったので、大阪の古き良き古書街にて忍者の本を探すことに。。

さて大阪到着早々、かっぱ横町「阪急古書のまち」へ。
店の前に本が積み重なり、左右の壁と真ん中に天井までの本棚、そして店の奥の突き当たりに店主が座っているという、絵に描いたような昔ながらの古書店が並んでいるガード下の古書街です。

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さて一軒目。(店内の蔵書をざっと探した上で)

「あのー、忍者に関する本ってありますか?」

店員のマスクした若いお兄さん「はぁ、忍者、ですか…。いま店主がおらず私バイトなのでちょっとわかりません。。でもたぶん無い、と思います。」
曖昧な答え。手応えなし。

続けて二軒目。

「あのー、忍者に関する本を探しているんですが…。」

60代オジサン店主「忍者ねぇ。。あったかなぁ。そういった本はあんまり見かけんね。」

三軒目。

ものすごい量の古書と稀覯本らしきものが積み重なってるスゴそうな本屋で期待大。

「スミマセン、忍者に関する本を探しているんですが…。」

60代オジサン店主、間髪を入れず「いつの時代のを探してまんのや(忘れたけど想像関西弁)」。

え?いつの時代??この質問には虚をつかれ、グッと詰まってしまいました。忍者って戦国時代、いや、江戸時代までいたのか…?でも、そんな昔の本がここにあるの?

「いや…その…時代は関係なく、忍者にまつわる本なら新しい本でも何でも見てみたくて探してるのですが…」

と歯切れ悪く訴えてみましたが、その様子を見た店主、「アンタねぇ。忍者って簡単に言うてるけど、忍者の本はいろいろありまっせ。そもそも忍者いうカテゴリはマニアが沢山いてるからホンマ高いよ。やっと出て来てもあっという間に売れてしまうさかい(想像関西弁)」とにべもない返答。素人に厳しい古書の世界、ここにあり。

でも知らなかった…古書にも忍者マニアの世界があったとは…。そしてそんなに人気も値段も高いとは。
そんな古文書みたいな本はとても手が届かないので、探して貰うまでもなくスゴスゴとお店を出ました。

四軒目。
冷たいインテリといった印象の30代とおぼしき男性店主。店構えは古いけど文学系やサブカル系にこだわりの感じられる古書店。

「あのー、忍者に関する本はこちらにありますか?時代はいつのものでもいいんですけど。」
先程のやり取りを踏まえ、慎重に質問。

「んー、今はないですね。」標準語の返事で話は即終了。こわい。
「あっ忍者についての資料本を探してたんですが…。そうですか…ないですか…。」としおしおと背中を向けた私に、
「忍者の本は人気があって滅多に見かけませんよ。」と言葉を添えてくれたものの、収穫なしでがっかり。

その後も何軒かあたってみたのですが、見事に手応えなし。
簡単に見つかると思っていた「忍者本探し」はどうやら思っていたよりもかなり難しい、という事をようやく理解し、日程に余裕がなかったので大阪で探す事をあきらめ、手ぶらで福岡へ。

福岡に戻ったものの、案の定、ネットオークション上でも忍者関連の本探しは苦戦。
やはり他の本と同じく、出版される数は少ないのにいつの時代でもある一定のファンを獲得できるジャンルの本というのは値崩れする事がなく競争相手も多いのです。

という訳で、細々と集めた忍者本。
手裏剣の投げ方、各種隠れ術の方法、自分の気配を消す為の動物の鳴き声の物真似法まで、ひじょうに興味をそそられる情報がわんさか掲載されています。
また、忍者×エロスという組み合せの小説も多く、これは昔から一つのジャンルを確立しているようで、こちらもまだまだ勉強の余地があります。

ninjya

さて、肝心の美人さん、再度、お店を訪れることはありませんでした。。
そんな忍者本、画像以外にも何冊かはお店で売れていき、コーナーというほどの量もないのですがご興味のある方はお店にどうぞ!


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