薦められたがりのイラストレーター小宮貴一郎が、誰かの好きなものをジャンルを問わずに教えてもらい、それにまつわる事や感想を書いていきます。

【第5回】池田拓也さんから「フット・パス」

こんにちは。イラストレーターの小宮貴一郎です。

前回に引き続き4月に行っていた旅行中のオススメです。
小、中学の同級生、池田拓也さんからイギリス発祥の「フットパス」を教えてもらいました。

まず概要、ウィキペディアから
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【フット・パス】
フットパス (footpath) とは、主に歩行者に通行権が保証されている道のこと。イギリスで発祥した「歩くことを楽しむための道」のことで、農村部を中心に、イギリス国内を網の目のように走っている公共の散歩道。長いものは160キロメートルも続く。
川や丘、農場や自宅の敷地内を通る道もある。イギリス国民にはこれを大切にする文化が醸成されている。

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「網の目」で「160kmにも及ぶ」ので、色んなのがあるでしょうけどこんな感じです。

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最初に出てくる「通行権」という見慣れない言葉と、最後の「イギリス国民にはこれを大切にする文化が醸成されている。」これが非常に重要みたいです。

「散歩道」や「散策路」を指すんですけど、イギリスでは散歩やピクニック、サイクリングなどの外遊びはとてもポピュラーで、休日にはしょうっちゅうやるそうです。

ということで、もう一度ウィキペディアから「通行権」について〜

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【イギリスの通行権】
イギリスで行われている公共の権利の1種。国有地・私有地の別なく、対象となる土地を突っ切って公衆が通行することが認められる権利。ただし、通行が許可されるのは、その権利の行使が認められた特定の通路のみ。これは、昔からその土地が公衆の通路として使われてきて、現在も通路として使われているのであれば、誰もが自由にそこを引き続き使用し、通り抜ける権利があるという考えに基づくもので、誰もが享受できてしかるべき基本的な権利であると捉えられている。

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昔から通路として使われてた道は、現在誰かが所有していても自由に通ってよい権利があるそうです。

それを含む通路の内、徒歩専用の道をフット・パスと呼びます。
他に自転車でも通れるとか、馬や馬車でとか、車含めて全部オッケーな道と、それぞれ呼び名があります。
(これは法域が別れているイギリスの中で違いがあるみたいなんで、今回は体験した「イングランドおよびウェールズ」で、という前提で進めます。)

footpath_a
そういう権利があるという事は、それほど自然の中を通る行為が重要視されているという事でしょうし、実際に林や川沿いを歩くと自然が丁寧に扱われている様子がよくわかりました。

それくらいイギリスの田舎(僕が行った所は主にロンドンから車で一時間半程西へ進んだスウィンドンという所です)は風景がきれいで、通るたび「何でだろう?何でこんな風景になってるんだろう?」と不思議に思う程でした。
しかも、そんな風景が点在しているのではなくてず〜っと。どこを見回しても美しい風景が延々と続いていました。
こういうのをカルチャーショックというんだと思います。

こういう景色が延々と続きます。

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僕が知ってる田舎は、もっと電線や大きな道路があって道路沿いに大きな看板があって土地の名物が書いてあるのぼりとかあるんですが、な〜んも無いです。

田舎を田舎のまま出来るだけ保持しようと皆が思わないとこうならないはずで、それが目の前にある事が日本にしか馴染みが無い自分にとっては衝撃的で「こりゃ大変だ。何だこりゃ。」と思ってしまいました。これをカルチャーショックというんじゃないでしょうか(2回目)。

旅行中世話になった友達に質問したり帰って調べたりして、自然や生活の考え方が根本的に違う事が身に沁みてわかりましたので「フット・パス」を入口にそれがどういう事か自分なりに説明できたらいいと思っています、大変そうですね。でもすごかったので頑張ります。

footpath_b

推測を含めて大きく3つの要因からこの風景の成立ちを考えることにしました。

・歴史的な背景
・地理的な背景
・生活の基盤

これを順番にやっていきます。大きな話で細かくはやれないのでざっと。

ひとつめー。

歴史的な背景
イギリスでは、ご存知産業革命が1750年に始まります。
工業化が進み森林資源の枯渇や大気汚染が発生し社会問題になります。
これを危惧した人々の間で「ナショナル・トラスト」という運動が始まり、同名のボランティア団体も生まれます。

この団体は歴史的建築物の保護を目的としたもので、正式名称は「歴史的名所や自然的景勝地のためのナショナル・トラスト」といいます。
活動内容は寄付を募って自然や歴史的建造物を次世代へ引き継ぐ為に管理・保全を目的としています。
今の会員数が380万人、ボランティアも6万1500人ということで相当大きな団体になると思います。

古くからのこういう活動が一般にも浸透しているみたいです。
簡単にいうと「一回懲りて自然を大事に扱うようになった」

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ふたつめー。

地理的な背景
2つにわけます。

その1(ほとんど推測)
イギリスの地形は緩やかなので比較的道路を作るのが容易だったとします。
すると日本のように大掛かりな予算がかからず、道路族のような政治家が生まれなかったと睨んでいます(僕が、個人的に)
信号、ガードレール、街灯、バイパスを含む道路の整備は発展の第一歩で喜ばしい事だという、長らく日本に合った概念が
そもそも無いというか。僕も、子供の時なんかは特にそういうものなのかと思っていましたし。

そもそも日本は山間部が多いから道路を作る高度な技術が必要だったと思います。でも勢いついて止めらんなくなっちゃって、という面もこっちにはあるんじゃないすかね。
もっとそっち方面が政治的に弱かったら道路こんなに多くなくて料金ももっと抑えられてないかなー?どうかなー?
‥何かモゴモゴしてしまいますが。地形に基づいた歴史も関係ある話ですかね。

その2
年間を通した日照時間が短いので気分を健やかに保つ必要が割と切迫してあるのかなという理由。

ホントに鬱っぽくなる人も多いみたいなので、身体を動かすのは重要なんじゃないかなと思います。
意識してるかどうかはわかりませんが、天気はあまり関係無く積極的に出掛ける事が文化として根付いた背景に「健康維持の為の必要性」があるんじゃないかなと考えました。

気候と関係した事についてもう一つ。気候が乾燥してるから作れる石の建物。これが長く保つのでどんどん味が出てきて雰囲気すごくでる。「これは周りもキレイにしないともったいない」と考えるのは、自然かなと感じます。京都なんかと同じ理屈です。
古くからある教会等は特に名所という感じでもなくそこかしこにあって、どれも随分雰囲気がありました。
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みっつめー。

生活の基盤。
これまた推測が多いですけど、イギリス(他もいっぱいあるでしょうけど)の人々の生活の重心が「家族」に置かれている事。
基本がそうなので出掛けるのも家族一緒が多くなります。手軽に皆で遊ぶのだったらピクニックが最適で、そのための自然も豊富にあって。
「自然が豊かだからピクニックなのか、ピクニックの為に自然があるのか」っていう、僕には判断つかない話になってきますが、でもなんかわざわざ「ピクニック」って呼ばないくらい当たり前に行くみたいなので、これを阻害しようという動きはそうそう出ないんじゃないでしょうか。

じゃあ他の例で、生活の重心が「会社」にある場合。これはやっぱり経済活動が何より優先されますかね。「会社のためだから我慢」が当たり前という雰囲気があってもおかしくないんじゃないでしょうか。休日も会社の人間関係を重視したレジャーに使ったり、サラリーマンがたくさん利用する外食産業が発展したりすると思いますね。
ざっとでも長くなりましたが3つの要因については以上です。
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最後、何をちょっと隠して書いてんだか。と自分でも思いましたけど、海外で見て良かったものを日本と比べてどうのこうの言ってると何とも言えない気まずさがほんのり漂ってきました、自分に。

お互い、歴史も地理も生活の仕方も違うのが当たり前で日本の方が良い部分だってたくさんあるの知ってますが。

でもなー、あの風景いいよなー。品があったよなー。もうちっと何とかならんかなー、とか考えてしまったもんでですね。

例えばこれからの日本で、もし田舎の土木や建築の予算が道路を景観にあったもの(場所によってはアスファルトをひっぺがしたり)に作りかえる為に使われて、電柱も全部地面に埋まり、交差点も信号以外の方法が主流で(イギリスは主流かどうかわかんないですけどラウンドアバウトっていうのがありました)ガードレールも木製で、それを管理する仕事もあって、休日には都市部から家族連れが山歩きやキャンプやらしに集まり、温泉がある場所では一泊したりして、村を散策しても、のぼりや、交通標語や、ラブホテルの看板や、農協の主張が書かれた看板を見る事無く歩ける、そんな田舎がもしあったらどうだろうなあ〜と夢想してみると僕は結構気持ち良かったですけど、どうすかね。

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これからそういう方向に行きそうな気もするし、全然そんな事なさそうな気もするしで全然わかりませんが、もう少し考えただけでも、ここまでになるに至った経緯とか、現状どうなっているのか等の疑問がたくさん湧いてきます。

んー、わからない。すごい。何だこりゃ。キリがないのでそろそろ終りにしたいと思います。
「違う」っていうのは凄まじい事だなあと思いました。基本的に考える事同じなだけに、余計そう感じます。

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次回はYOHFUさんから「梅醤番茶」です。

 

 


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