私の前に現れては、言葉を交わす事もなく、ただ通り過ぎて行くだけの幾多の女たち。
せめて、その印象をここに書き留めることにした。
しかしその女たちについて、私は、何も知らない。。。
せめて、その印象をここに書き留めることにした。
しかしその女たちについて、私は、何も知らない。。。
【1人目の女】レジの女
近所の24時間営業のスーパーのレジで時々見かける小柄な美しいひと。
深夜1時2時、仕事の合間に夜食を買いに行った時に見かける事が多く、
そんな時間に若い女性がレジに立つのも珍しいので、妙に気にかかる。
まだ十代の少女のようにもみえるし、三十といわれれば、そのようにも見える。
ちまちまと可愛らしい造作の顔に、濃いアイメイクがアンバランス。
色白ではあるが、青白く不健康そうな顔色である。
眼差しにどことなく薄幸そうな影を感じる。
その影が、彼女の年齢を分かりにくくしているのかもしれない。
そんな遅い時間まで働かねばならない何か、
例えば若くして夫に先立たれたとか、病弱な親の借金を肩替わりしているとか、、、
そういうのっぴきならない事情を抱えているのかもしれない。
私になんとかできるものなら、手を差し延べてやりたくなるような、
そんな気にさせる女である。
しかしながら、私にそんな力はないし、
そもそもこの女について、私は、何も知らない。