ただデザインに魅かれて古いルアーを収集していたところから始まった釣り遍歴。
もうガールとは呼べない釣り好き女が、気の向くままにアチコチを釣り歩きます。
ボウズ続きでぜんぜん違う話になる場合もあります。
【第2回】虹マス釣りの巻 〜後編〜
さて、前回から引き続き、といっても、かれこれ一ヶ月以上更新してなかったので記憶もおぼろげですが
「九重フィッシングリゾート」の管理釣り場にて、フライで虹マスを釣るお話です。
フライ釣りがどういうものかをご存知ない方のために、ものすごく簡単に説明をすると、
様々な虫を模したフライと呼ばれる毛針(擬似餌)を使います。これを細いロープ状のライン(釣り糸)の先端に付け、ロッド(竿)からその糸をムチのように繰り出し、水面を踊らせて魚を釣る技法です。
ルアー釣りの場合は、ルアーの重量により遠心力で遠くに投げる事ができるのですが、毛針はとても軽いのでそれができません。
なのでフライ用のラインはそれ自体に重量があり、毛針を投げるのではなくライン自体を水面へと繰り出すような動きをします。
よって、竿の振り方(キャスティング)や基本フォームがルアー釣りとは大きく異なります。
この動きをマスターするのは、特にルアー釣りの経験があるとなかなか難しいものがあります。
イメージとしては、サーカスで猛獣の調教師が持ってる長さ10mぐらいのムチ、あれを操って先端でピシッとやる感じ。
ずっとやっていると「つかめた!」という感触が得られるのですが、ちょっと気を抜くとルアー釣りのフォームで投げてしまい、当然ながらまったく毛針は前に飛んで行かず、ひどい時にはラインがメチャクチャにもつれてキー!となります。
さて、このフライには様々な種類・形状があり、市販されています。
オリジナルデザインでフライを自作することは「タイイング」と呼ばれていて、フライ釣りの趣味の一つとして親しまれています。
私はフライ釣りを始めて間もないのでキャスティングもままならず、まだ「自作フライを作る」という優雅な趣味には至っておりません。
この「タイイング」は専用の道具がたくさんいる上、ものすごく手先の細やかな作業で、できるかどうか微妙ですが面白そうです。
フライはムシと同じ小さなサイズで羽根や脚が精巧に表現してあり、魚でなくても間違えそうなくらい本物っぽく作られています。
材料は羽根・皮革・スポンジ・モールなどさまざま。孔雀の羽根を用いたもの、キラキラと透明の羽根をもつウスバカゲロウを模したフライなんかは、そのままブローチやピアスにでもしたいような綺麗なデザインのものがたくさんあります。
しかし今回は、お気に入りの優美なデザインのフライを選んで、いろんな投げ方を試しているような余裕はありませんでした。
「ニジマスを食べる」目的の包丁持参の釣り。今日はササッと良い型を釣り上げ、手際良くさばきたい…。
そんな時には必殺フライ「赤玉ポンポン」の登場です。
この「赤玉ポンポン」とは、勝手にそう呼んでいるだけで正式な名称も何を模したフライなのかも最近まで知りませんでした。
直径7mm程度のフワフワした丸いモール状のフライです。目玉も脚もありません。赤以外にも黄色やグリーンなどいろんなカラーで売られています。
↑ 赤玉ポンポンと仲間たち。
これをつけたら、ほぼ100%釣れることがこれまでの釣果で立証済み。
最近ようやく知ったのは、この「赤玉ポンポン」、エッグフライという名前で魚の卵を模しているのだそう。別名・ペレットフライとも。そう、管理釣り場で定期的にバラバラと投入される丸い固形エサの形にも似ているのです。
自分に出来る限りの技法を尽くしてもまったくアタリがない釣れない時間。
「ほんとに今日、この池に魚いるの?」という気持ちになってきた頃、管理人がやって来て固形エサを撒き始めます。
するとどうでしょう、あんなに静まりかえっていた池なのに、エサを撒く管理人さんの動きにあわせてさざ波がたつほどバシャバシャと水面を揺らす魚たちで大騒ぎになります。
「こんなにいるんなら釣れない筈はない!」
釣れない釣り人たちはホッと一安心、また各々でやる気を奮い起こします。
魚にとってそれだけの威力をもっているエサ。それに似た形状の赤玉ポンポンは、確実に釣れるアイテムなのです。
けれどその魚の騙し方、あまりに単純なせいか、いかんせん玄人受けしない模様。
フライ釣りの雑誌を読んでいると「赤玉ポンポン」への蔑みに満ちた記述が目につきます。
そんな訳で、誰もが釣れていない時に一人バシャバシャと釣り上げるのは快感なのですが、赤玉ポンポンを使っている時に限っては心無しか「なんだ、赤玉ポンポンか」という眼でみられているような気がして人目を避けてコソコソと魚を外すのでした。
さて玄人から見たらインチキしたぐらいの赤玉ポンポンフライ釣りですが、やはり今回も確実に、、
ゲット〜!
綺麗ですね。虹マスはほんとに綺麗です。そして今回は美味しそうに見えます。
続けて2尾目。
いつもはすぐにリリースするのですが、今回は命への感謝を捧げつつ美味しく食させていただきまーす。
管理釣り場の流し場で、まずはエラぶた付近に包丁を差してシメます。
その後は全体のヌメリを綺麗にとったのち、お腹を開いてハラワタと血合いを出したら完了。
管理人さんが教えてくれたのですが、このヌメリが「川魚特有の臭み」になるとのこと。
さあ、急に見た目が「釣った魚」から「スーパーで売ってる魚」に変貌しました。
あとは持って帰って調理するのみ!ワクワク!
いろいろと迷った末、今回はダッチオーブンで「ハーブ塩窯焼き」というレシピにチャレンジしました。
お腹にたっぷりとハーブをつめて、塩をひいた鍋の中に横たえてまわりも塩で固めます。
フタをして炭火の上で待つこと30分、開けてみると塩が焼けて全体がカチカチになっているのを優しく崩していきます。
程よい塩味に蒸し上がった虹マスには、レモンを絞ってシンプルな味付けで。
心配していた川魚の臭みは皆無。むしろ、すーっとほのかな香味あり。
身は締まっているけど、冬に太ってる虹マスは食べるところいっぱい。めちゃめちゃ美味しいお魚でした。
次は小麦粉をまぶしてバターでムニエルかなぁ。。白ワインなんか合いそうだなぁ。。飲めないけど。
どんどん魚料理のレパートリーを増やしていきたい今日このごろです。
釣りは「食べること」と繋げた方が、より楽しさが増すような。
今回は寒さも忘れて楽しい釣りとクッキング、そして虹マスの美味しさも堪能できて大満足。
次回はもっといい出刃包丁を買って、またチャレンジしたいと思いまーす。
次回の「おんな釣紀行」は、爽やかな初夏の風を感じつつの磯釣りを予定しています。
どうぞお楽しみにー!